2009年の梅雨がなかなか明けず、大雨による被害もでました。福岡地区では高速道路が通行止めになって、各方面に影響が出てきています。
北九州地区でも、梅雨明け宣言は出たのですが、8月6日までは、かなり激しい雨が降っていました。しかし、松尾病院の盆踊り大会(納涼祭)の当日8月7日は、嘘のように好天となりました。準備から当日進行まで担当してくれたスタッフの、日ごろからの行いがよかったのでしょう。
日ごろはどっぷりと病的体験(幻覚・妄想などの世界)に浸っている、治療抵抗性の長期入院患者さんが、楽しそうな表情で輪に入って踊っているのを見ると、こちらまで幸せをおすそ分けして頂いた気分です。ただ、以前は考えられなかったのですが、模擬店で準備していたアイスクリームやフランクフルトなどが、売れ残ってしまいました。
また、イベント芸人(本職は地方公務員らしい)たちのショーがあって、患者さんの中には『おひねり;具体的に言うと、お金・チップ』ではなく、模擬店で購入したアイスクリームなどを、ステージ近くまで持っていって、芸人さんに手渡していました。楽しかったお礼なのでしょうか・・・
準備してくれて、当日の進行まで計画してくれたスタッフ、そして当日参加してくれた130余名の職員の方、本当に楽しいひと時をありがとう。そして、参加して楽しんでくれた患者さんありがとう。患者さんが喜んでくれると、私も含めた病院スタッフは本当にうれしくなるのです。
再来年(来年度)は病院創立50周年になります。来年〜再来年は派手なイベントをしなきゃあいけないのかなあ?
北九州市小倉南区の精神科・内科:松尾病院のホームページはこちら
薬の添付文書の問題
2009年08月05日
一般の方はご存知ないかもしれませんが、我々医師が処方するお薬には、『添付文書』がついて来ます。患者さんに投与するために、箱単位でお薬を製薬会社から購入すると、その箱の中に文書が入っています。医師に直接送られてくるのではなく、お薬に付いてくる(添付されている)文書があるわけです。しかも実際に、「薬にこういう文書が入っていますから、読んでおいて下さい」と、我々医師のところに添付文書が持ってこられることなどないのです。そして、その『添付文書』は、最新式の携帯電話の『使用上のマニュアル』のように、小さい字で大量に記入されていて、すべてを読んで頭に入れることなど困難な状況です。薬の種類だって多いわけですから・・・。でもそれは知っておくにこしたことはないのでここでは問題にしません。
厚労省に確認すると、『製薬会社が処方する医師に対して、処方するに当たっての、必要な情報を提供するための文書』ということだそうです。しかしその内容は、不親切そのものです。多くの患者さんを診る上で、頻度的には殆ど無視しても全く問題がないような副作用までぎっしり書いてあるのです。
例外的に新しく発売になったお薬については、各製薬会社の担当者が(使ってもらおうと思って)説明に来ます。しかし売ろうと思って説明に来るわけですから、そのお薬の悪い話はあまりしてくれません。説明の時に渡してくれた添付文書を見ていて「エッ」 と思うこともあるのです。『説明はしていないけど文書には書いて渡しているから』ではその企業が信用できなくなってしまいます。
また厚労省から『こういうことを添付文書に記載しなさい』という指導が製薬会社に対してあるといいます。
しかも、最近では添付分文書の内容が問題ではないのか、というものもあります。2つ例を挙げます。
@精神安定剤も含め多くの精神科のお薬は、『眠気が来ることがあるので、自動車などの運転等の危険な作業に従事させないようにすること』といった内容の記載があります。
⇒もし患者さんにそのように説明したら、患者さんによっては「そんな危険な薬を呑むわけには行かない」と言って、お薬を飲むのをやめてしまう可能性だってあるのです。そうすると、病状は悪くなってしまいます。
⇒実際には、大量のお薬を飲みながら、問題なくタクシーやトラックの運転手をしている患者さんだっているのです。彼らに失業しろということなのでしょうか。通院や通勤が出来なくなる患者さんだっていると思います。
A『うつ病の患者さんは、抗うつ薬をのみ始めると、自殺のリスクが高くなることがあるので、十分説明して家族と連絡を取り合い、何か変化があればすぐに相談出来るような体制をとること』という内容の記載があります。
⇒自殺のリスクについて、お薬の影響で増加するのかどうかの正確なデータは、なかったように思います。さらに
⇒皆さんや皆さんの家族がうつ病になって病院に行った時に、「あなたはうつ病です、お薬による治療が必要です。でもお薬を飲むと、自殺する可能性が増えることがあります」と説明を受けて、『自分でお薬を呑もう〜大切な家族にお薬を飲ませよう』という気持ちになるでしょうか。それじゃなくても悪いように悪いように考えてしまうようになって、前が見えていない患者さんにこんなことを話して、治療が続けられるのでしょうか。
厚労省も製薬会社も良く考えて欲しいものです。
6月と7月の1ヶ月間の病院の診療実績ですが、
外来では、6月の新患は38名で、うち全く初めての受診していただいた患者さんが28名で再来新患が10名でした。7月の新患は30名で、うち全く初めての受診していただいた患者さんが25名で再来新患が5名でした。
病棟では、6月に入院された患者さんが24名、退院された方が25名でした。7月に入院して頂いた患者さんが27名、退院された患者さんが18名でした。
もう少し退院される患者さんを増やしていかないと、もうにっちもさっちも行きません。
松尾典夫
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厚労省に確認すると、『製薬会社が処方する医師に対して、処方するに当たっての、必要な情報を提供するための文書』ということだそうです。しかしその内容は、不親切そのものです。多くの患者さんを診る上で、頻度的には殆ど無視しても全く問題がないような副作用までぎっしり書いてあるのです。
例外的に新しく発売になったお薬については、各製薬会社の担当者が(使ってもらおうと思って)説明に来ます。しかし売ろうと思って説明に来るわけですから、そのお薬の悪い話はあまりしてくれません。説明の時に渡してくれた添付文書を見ていて「エッ」 と思うこともあるのです。『説明はしていないけど文書には書いて渡しているから』ではその企業が信用できなくなってしまいます。
また厚労省から『こういうことを添付文書に記載しなさい』という指導が製薬会社に対してあるといいます。
しかも、最近では添付分文書の内容が問題ではないのか、というものもあります。2つ例を挙げます。
@精神安定剤も含め多くの精神科のお薬は、『眠気が来ることがあるので、自動車などの運転等の危険な作業に従事させないようにすること』といった内容の記載があります。
⇒もし患者さんにそのように説明したら、患者さんによっては「そんな危険な薬を呑むわけには行かない」と言って、お薬を飲むのをやめてしまう可能性だってあるのです。そうすると、病状は悪くなってしまいます。
⇒実際には、大量のお薬を飲みながら、問題なくタクシーやトラックの運転手をしている患者さんだっているのです。彼らに失業しろということなのでしょうか。通院や通勤が出来なくなる患者さんだっていると思います。
A『うつ病の患者さんは、抗うつ薬をのみ始めると、自殺のリスクが高くなることがあるので、十分説明して家族と連絡を取り合い、何か変化があればすぐに相談出来るような体制をとること』という内容の記載があります。
⇒自殺のリスクについて、お薬の影響で増加するのかどうかの正確なデータは、なかったように思います。さらに
⇒皆さんや皆さんの家族がうつ病になって病院に行った時に、「あなたはうつ病です、お薬による治療が必要です。でもお薬を飲むと、自殺する可能性が増えることがあります」と説明を受けて、『自分でお薬を呑もう〜大切な家族にお薬を飲ませよう』という気持ちになるでしょうか。それじゃなくても悪いように悪いように考えてしまうようになって、前が見えていない患者さんにこんなことを話して、治療が続けられるのでしょうか。
厚労省も製薬会社も良く考えて欲しいものです。
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