診療報酬改定(2)

2010年02月20日

今回の診療報酬改定は、上がると思っていたのに、そうも行かないようです。
 前回書き込んだ外来再診料の件ですが、病院の再診料を上げていただいたのはありがたいことですが、開業医の先生方(診療所・クリニック)の再診料を下げて、その分のお金で、病院の再診料を上げたということのようです。病院と開業医の再診料を統一することには反対しませんが、本来なら、開業医を下げるのではなくて、これまでの開業医の水準に統一することが当たり前のような気がします。
 次に入院医療費の件です。精神科の入院診療報酬は、他の科の比べて、安く設定されています。そのこと(赤字になってしまう)が大きく関係していると思うのですが、全国の公的な病院の精神科病棟が閉鎖されています。そのこともあって、今までより『看護師が多くいて、診療報酬も高い』精神科病棟の基準が作られました。そうすると、公立病院はその基準に移行して、医療費が増えると思われます。
その増える医療費を捻出するために、(ほぼ同額という試算なのだそうですが)精神療養病棟の診療報酬を下げることになったようです。その他の病棟でも入院期間の長い患者さんの診療報酬が下がります。
それでよいのでしょうか。精神科以外の診療科でも、急性期医療を重視して、長期入院の診療報酬を下げる傾向があるのですが、精神科病院の場合、病院で一番治療の難しい、重症な患者さんは長期入院しているのです。
 経済的な裏づけがないと、良い医療は出来ません。私はそんなことをしているより患者さんを拝見していることの方が好きなのですが、今のところは上質な精神科医療を実現するために、診療報酬改定を見て、どう病院を運営していくのか、真剣に考える必要がありそうです。
 松尾典夫




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もう返上だ(2)、訂正しますが、趣旨は変わりません

2010年02月14日

 ○○観察法に関する、当院への地方厚生局による実地指導の件ですが、その法律に、実地指導の項があるということです。通知があったのは、法令に伴う実地指導のようです。知らなかったこととはいえ、大変失礼をしました。引き受けた以上仕方ないのでしょうが、実際やっぱり引き受けたことを後悔して、返上したいという気持ちはどんどん膨らんでいます。
 これまでは法律にのっとり手間ひまをかけて診療していました。いつもこのブログで愚痴っているように、慢性的に時間が足りない、この法律の対象以外の自分の受け持ち患者さんの話を聞く時間を削ってまで、診療に当たっていますし、院内で会議も行っています。他の患者さんの診療時間を割く、そうするしか時間がないのです。そうして、自分自身に「社会のため、社会のため・・・」と言い聞かせながら関わっていたのですが、これ以上の業務が増えたら、本当にやってられません。そもそもこの『指定』を引き受けるのは本当に迷惑な話でした。引き受け手がないから、私自身が精神科病院協会の役をしている関係で嫌々引き受けたのです。
 福岡県の精神科病院協会の1月の理事会で『指定を返上してもかまわない〜場合によっては、みんなで返上しよう』という励ましを頂きました。一生懸命、ボランティア精神で、他の患者さんへのサービスを減らしてまでやっていることに監査を受ける。冗談じゃあない、本当に返上してしまいたいです。

松尾典夫

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22年度診療報酬改定

次の診療報酬改定が、少しずつ、明らかになってきました。2回目以降の診察料金(再診料)が、600円だった病院を上げて、710円であった個人開業医の診察料金を下げて、同じ690円になることになりました。おなじ医療行為をして、料金が違うのはおかしいというのが理由です。2回目以降の受診では再診料以外に、お薬代や検査代、カウンセリング〜精神療法の料金は再診料とは別にかかるのですが・・・。

精神科病院は『前回のマイナス診療報酬改定でも、全国平均ではまだ0.1%の増収になっている』とよく言われますが、実態は違います。色々な病院が増収のための経営努力をしたからなのです。看護師さんを集めて〜施設を改築してなど医療の質を上げて診療報酬が高くなるように頑張ったり、病院によっては高額な薬剤の使用量を増やしたりして、そうして全国平均で増収になったのです。全国平均では増収になっていますが出費も増えており、精神科病院の収益はかなり悪化しています。病院崩壊が、産婦人科・小児科の次に多く起こっているのが精神科病院なのです。精神科病院の倒産が目立たないのは、倒産した病院を買おうという人がいて、結果的に倒産していないだけです。

精神科だけでなく、病院勤務医の仕事が過酷だということで、医療崩壊が起こっています。精神科にかかわらず、医療崩壊=『病院崩壊』です。病院勤務医が、奴隷のような勤務をしないですむ状況が出来ればよいのであって、常勤医の給与を増やすというよりも、勤務医の人数を増やすことが大事です。病院は24時間稼動しているのが原則で、医師も(看護師のように)3交代で働いて、それでも昼間に働く医師数が現在の数〜それ以上確保できる状況が作れれば、よく言われる病院勤務医の、当直をはさんで1泊2日、つまり32時間連続勤務がなくなって、夜勤の疲れを癒す時間も与えられるようになったら、現在の給与でも勤務医はやっていけると思います。その数の増えた医師の給与を病院が支払うには、今の診療報酬では不可能です。今回の診療報酬改訂のように、開業医の診療報酬を削ったくらいでは、達成できない。小手先の改革ではどうにもならないと思います。

精神科病院においても同様で、多くの医師が配置されるようになれば、もっとキメ細かい診療が出来るようになります。精神科でよい医療をしていくためには、マンパワーが必要です。今の人員配置基準では、当院の各医師・職員は十分に頑張っていますが、それ以上のボランティア的な頑張りなしでは何も進まないのが実情です。

『条件が整えば退院可能』という入院患者の調査がありましたが、長期入院になっている人にはそれなりの理由があるのです。『社会的入院の患者』なんて、全国的に見ればゼロではないでしょうが殆んどいません。『入居先さえ見つかれば、今日にでも、あるいは1ヶ月で退院できる』という患者さんが長期入院しているわけではないのです。今回加算を増やしたようですが、長期入院患者を何人か退院させた病院に僅かの加算をつけても、たいした効果はないと思います。精神科病床数を減らしたいなら、社会から精神障害に対する偏見をなくすこと、社会資源を増やすこと、そして精神科病院のマンパワーを充実させることが大切で、そうしていく財源を手当てすることが大切です。

もしそうすれば一時的には診療報酬総額が増えるでしょうが、そうして精神科病院から多くの患者が退院するようになれば、全国的に見れば病床数は確実に減ると思います。 ・・・但し、患者が退院して、障害を持った患者を地域で支える社会のコストが、入院中より安くなるかどうかは、また別の問題なのですが・・・ コストをかけてでも、障害のある人も社会で暮らして行けるようにする・・・もちろん私は大賛成です。

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