入院中の患者さんの身体の病気について、他の専門的な病院を紹介した場合、その日の入院料(つまり精神科病院の収入)は減らされることになりました。それだけなら、精神科病院が泣いて我慢すればよいのです。我慢できる限界がどの病院にもあるのですが、その話は置いておきます。しかし、紹介した病院にも、その日一日分の薬しか出してはいけないとか、様々な診療行為に対する制限がかかります。
つまり、精神科病院に入院中の患者さんは、身体の病気になってもよっぽどのことがなければ、専門家ではない精神科医師〜そこにいる専門外かもしれない内科医師(大きな総合病院ではその専門・専門の内科医がいるのに)に診てもらいなさいという、政策誘導です。
もちろん精神科病院は病院ですから、ある程度の身体のための検査機械や治療薬を用意し、精神科医師も医師ですからある程度の身体の不調には対応します。ですが、出来ることと出来ないことがあります。
以前から『受診抑制』といって、病気になった人が医療機関を受診しにくくすることによって、国民の医療費を少なくしようという、あさましい国の政策があるのです。精神科病院だけでなく、診療科の少ない病院に入院中の患者さんは、主な病気以外は専門家でない医師に診てもらいなさいという、とんでもない制度です。
早く改めないと、好きで心の病になったわけではない患者さんに、更なるハンディキャップを負わせることになります。本当に困った『改悪』です。
松尾典夫
