弁護士の先生方にも考えて欲しい

2010年09月04日

このたび、福岡県弁護士会主催のシンポジウムが開催されるという案内が届きました。参加メンバーを見て、弁護士会の実力にびっくりしました。
 例によってタイトルは『社会的入院』でした。でもこの『社会的入院』という言葉には、一番当事者と日ごろから触れ合っている『第二の当事者』として、めちゃくちゃ反発があります。彼らは、病院の中で気心の知れた人たちとは人間関係を結べるようになっているのですが、社会に放り出されたらどうなのでしょうか?海外に比べて確かに入院患者数が多いのです。でも、例えばアメリカ合衆国では『ナーシングホーム』という施設があってそれを加算すれば、『入院患者+施設入所患者数』は日本と同じなのです。そこでいえるのは、海外のナーシングホームに比べれば日本の精神科病院の方が『施設』としてはもっと質が高いのです。
 当事者で退院を希望している方々は、症状さえ許せば、たぶん退院になっています。病院でも患者さんを退院させようとして様々な病院の増収にならない取り組みを、手出しでしています。本当に患者さんが退院したあと、入院中よりも幸せな生活を送っていけるのかどうかの検証が必要です。
 『受け皿』が整えば・・・、何年も前から厚労省の中で話しが出ていましたが、なんと抽象的な言葉でしょう。それぞれの患者さんに適した受け皿・・・、レベルも色々です。
 実はウチの病院にも、逆に退院について病状以外の「条件が整っている」かたがおられます。そのかたは「自分は病気じゃない」と思っていて、服薬を継続することには抵抗があります。「自分の薬を飲ませたら、猫が死にました、怖い薬ですよ〜」と言います。猫は体重がその患者さんに比べれば少ないのに、同じ量を飲まされればやはり死亡するでしょう。
 その人は親から引き継いだ家があって、とりあえずの『受け皿』はあるのです。ところがその人に言わせると、「これまで単身生活で退院した人はみんな亡くなっているんですよ」と具体的な名前を挙げて、退院を勧めようとした主治医をたじろがせます。
 いずれにしても、そいういった人たちの居場所だけでなく、『権利擁護・・・障害を持った方々が社会で当たり前に生きていける社会を作る』ことを実現しないと・・・。病院の中でなら何とか生きて行けていたのに、退院と同時に生きていくのに何十倍も困難になることだってあるんです。そして社会を変えていくにはなたいそうお金がかかることが、海外で証明されています。今までこの面は放置され、様々なところから、『精神科病院が退院させないようにしている』という、精神科病院性悪説で退院させない当事者が『悪』なのだという結論が誘導される場合が多いと感じています。
 まず、当事者の気持ちをおもんばかって欲しいと思います。彼らの自己決定権は・・・どうなんでしょう。『社会的入院を解消したい』と誇らしげに語る、功名心や自分の原理原則にとらわれた活動も、社会に対する問題提起としては重要かもしれないのですが・・・、もっと当事者の幸せを第一に考えて欲しいと思います。
 厚労省の精神保健担当の官僚の中で、『確たる返事をすることは立場上出来ない』官僚の中で一番えらいクラスの厚労省のお役人様がシンポジウムに来るようですが、彼はどんな展望について予算とともに語るのでしょうか。
 厚労省の言うとおりに、「右向け右」と言われれば右を向いていた全国の精神科病院を、『精神科病院性悪説』で、なんでも加害者扱いするのはやめて欲しいのです。私の先輩たちは、たとえ疑問を持っても厚労省の方針通りにやってきたのですから・・・ ここまで言うと、またいつもの某省庁に対する悪口・雑言になってしまうような気もするのですが・・・

 でも、シンポジウムに参加している人たちとは手を取り合って、当事者の幸せを出来る範囲で実現できるようになれば・・・、と、目の前で当事者とかかわっている私は思っています。

松尾典夫

 




病院 北九州市小倉南区の精神科・内科:松尾病院のホームページ
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