東日本(東北関東)大震災、障害者は

2011年03月27日

大変な地震とそれに続く津波、さらには原発事故が起こってしまいました。被災者の方には、どんな言葉をおかけすればよいのか、本当に言葉もありません。
東北地方の精神科病院も、大変な事態になったようです。知り合いの先生の病院もあって、同業者として何かできることはと考えるのですが、距離的に遠いため、何かすぐできることも思い浮かばず、オロオロするばかりです。
以前私がかかわっていた透析患者や、現在かかわっている精神障害者など、社会的弱者は、医療が受けられなくなると、直ちに日頃経験している以上の生命的危機や社会的不利に直面します。
被災地の精神障害者の中は、これまで守ってくれていた精神科病院を出て行くほかなくなり、避難所生活を余儀なくされている人もいます。阪神大震災のときにも、周囲の健常者の方々の精神障害者(通院レベルの患者)への対応が、避難所によって異なっていたようです。周りの人々が支持的にかかわっていたところと、実質的には障害者を排斥していたところがあったようです。今回の震災で、避難所生活の患者さんがどうしているのか、とても心配しています。
日本で精神障害者が地域で暮らすための一番のネックは、周りの人の理解(偏見の除去)が決定的に欠けていることです。厚労省や内閣府が、『アウトリーチ』やその他、精神障害者が社会で暮らすための色々な方針を打ち出しているのですが、彼らの権利擁護をきちんとしないとうまく行くはずがありません。彼らのすべてを、準備も出来ていない地域社会で暮らすように持っていくのは、障害を持つ彼らをさらに苦しめるだけのことのように思えて仕方ありません。

松尾典夫




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元気です

しばらくご無沙汰していました

昨年末、若干元気を失っていましたが、持ち直しています。私ごとですが、個人的な事情で、数週前よりインターネット接続環境に居住していないために、投稿が遅れてしまいました。
今後も意見を発信していきますので、よろしくお願いします。

松尾典夫

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外来の予約制

2010年11月02日

 小生の外来を予約制にして2ヶ月が過ぎました。新患は一日1名、再来は30分で4名の枠で予約をお受けしています。他の先生は新患のみ一日1名で予約制としています。
 これまでの小生の外来は、どうしても日によって受診される患者数がまちまちとなり、どうかするとあまりお待たせしない日もあるにはあったのですが、2〜3時間お待たせすることが多かったようです。
 始める前には、「予約制にしておいて、時間通りに運ばなかったらどうしよう」と不安もあったのですが、予定より30分遅れたことは1〜2度でした。
 予約制にして、日によって患者さんの数が大きく異なるということはなくなりました。新患の方にも、これまでに比べて十分とはいえないけれども、ある程度の時間を割くことができるようになりました。
 ただ、急に悪化して突然受診された方については、予約の患者さんが終わってから拝見するようにしているので、場合によってはかなりお待ちいただかないと拝見できない状況です。ですから、結局外来終了時間は前とあんまり変わっていません。
 それでも以前から拝見している患者さんたちにはおおむね好評です。少しほっとしています。

松尾典夫

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弁護士の先生方にも考えて欲しい

2010年09月04日

このたび、福岡県弁護士会主催のシンポジウムが開催されるという案内が届きました。参加メンバーを見て、弁護士会の実力にびっくりしました。
 例によってタイトルは『社会的入院』でした。でもこの『社会的入院』という言葉には、一番当事者と日ごろから触れ合っている『第二の当事者』として、めちゃくちゃ反発があります。彼らは、病院の中で気心の知れた人たちとは人間関係を結べるようになっているのですが、社会に放り出されたらどうなのでしょうか?海外に比べて確かに入院患者数が多いのです。でも、例えばアメリカ合衆国では『ナーシングホーム』という施設があってそれを加算すれば、『入院患者+施設入所患者数』は日本と同じなのです。そこでいえるのは、海外のナーシングホームに比べれば日本の精神科病院の方が『施設』としてはもっと質が高いのです。
 当事者で退院を希望している方々は、症状さえ許せば、たぶん退院になっています。病院でも患者さんを退院させようとして様々な病院の増収にならない取り組みを、手出しでしています。本当に患者さんが退院したあと、入院中よりも幸せな生活を送っていけるのかどうかの検証が必要です。
 『受け皿』が整えば・・・、何年も前から厚労省の中で話しが出ていましたが、なんと抽象的な言葉でしょう。それぞれの患者さんに適した受け皿・・・、レベルも色々です。
 実はウチの病院にも、逆に退院について病状以外の「条件が整っている」かたがおられます。そのかたは「自分は病気じゃない」と思っていて、服薬を継続することには抵抗があります。「自分の薬を飲ませたら、猫が死にました、怖い薬ですよ〜」と言います。猫は体重がその患者さんに比べれば少ないのに、同じ量を飲まされればやはり死亡するでしょう。
 その人は親から引き継いだ家があって、とりあえずの『受け皿』はあるのです。ところがその人に言わせると、「これまで単身生活で退院した人はみんな亡くなっているんですよ」と具体的な名前を挙げて、退院を勧めようとした主治医をたじろがせます。
 いずれにしても、そいういった人たちの居場所だけでなく、『権利擁護・・・障害を持った方々が社会で当たり前に生きていける社会を作る』ことを実現しないと・・・。病院の中でなら何とか生きて行けていたのに、退院と同時に生きていくのに何十倍も困難になることだってあるんです。そして社会を変えていくにはなたいそうお金がかかることが、海外で証明されています。今までこの面は放置され、様々なところから、『精神科病院が退院させないようにしている』という、精神科病院性悪説で退院させない当事者が『悪』なのだという結論が誘導される場合が多いと感じています。
 まず、当事者の気持ちをおもんばかって欲しいと思います。彼らの自己決定権は・・・どうなんでしょう。『社会的入院を解消したい』と誇らしげに語る、功名心や自分の原理原則にとらわれた活動も、社会に対する問題提起としては重要かもしれないのですが・・・、もっと当事者の幸せを第一に考えて欲しいと思います。
 厚労省の精神保健担当の官僚の中で、『確たる返事をすることは立場上出来ない』官僚の中で一番えらいクラスの厚労省のお役人様がシンポジウムに来るようですが、彼はどんな展望について予算とともに語るのでしょうか。
 厚労省の言うとおりに、「右向け右」と言われれば右を向いていた全国の精神科病院を、『精神科病院性悪説』で、なんでも加害者扱いするのはやめて欲しいのです。私の先輩たちは、たとえ疑問を持っても厚労省の方針通りにやってきたのですから・・・ ここまで言うと、またいつもの某省庁に対する悪口・雑言になってしまうような気もするのですが・・・

 でも、シンポジウムに参加している人たちとは手を取り合って、当事者の幸せを出来る範囲で実現できるようになれば・・・、と、目の前で当事者とかかわっている私は思っています。

松尾典夫

 

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『制度やお役人』が現状についていっていない

2010年07月31日

大阪で、母親から養育拒否された幼い子供が二人、マンションの自室で餓死したというイタマシイ事件がありました。本当に言葉もないのですが、二人の子供のご冥福を祈らずにいられません。
この事件で母親を非難するのは簡単です。でも、戦後教育で、多様な価値観が生まれ、『母としてより、女としての自分を大切にする』という価値観が、若い女性の中に生まれてきているのは事実のようです。私自身、そんな考えをよしとすることはないのですが、現実なのです。餓死させないまでも、母親が『子供を育てることをしなかった』という結果の心の問題を抱えた人が、支援者と一緒に精神科病院を受診することが増えています。こういった人への対応はとても難しくて十分なことが出来ていない気がします。
『何故この結果を防げなかったのか』なんて深い議論をするつもりはありません。
でも周りの人が心配です。このマンションの同じ階に住む人たちは当然異変に気がついていて、警察や児童相談所に連絡していたということです。人は、災害や事故で周りの人が亡くなったのに自分が助かった時に、「何故自分だけが助かった」と、自分を責める気持ちになるものなのです。人は、周りの人が自殺したときにも、「自分が何かしていればこの人は自殺することはなかったのではないか」と、自分を責める気持ちが起こります。近隣の人たちは、『子供の泣き声を聞いても、直接にはどうすることも出来ず、関係機関に連絡する』という適切なことをされたのですから、どうかこの悲惨な結果から自分を責めないでください。
最後に、最近の若い人たちの価値観が代わっていることを踏まえ、『みんなが自分たちと同じ価値観を持っている』という幻想は捨てて、通報を受けたお役人は適切に対処して欲しいと思います。少子高齢化時代に生まれた子供は、国の宝なのです。親が何らかの理由で育てられないだけでなく育てようとしない場合も、親だけに任せず(親の世代は色々な価値観を持ってしまっているのです)に、社会(国)でそういう子供を育てることが出来るようにするべきなのかも知れません。・・・大昔、人類は、社会で子供を育てていたのです。
最近、本当にいろんな価値観が生まれています。『母としてより、女としての自分を大切にする』ことに私は反対ですが、そういう価値観が、絶対的に間違えていると言い切れない面があります。特にそういう気持ちでも、子育てがしっかり出来ていれば、間違いだと決め付けることは難しいように思います。
むしろ『自分はどうしても子供に愛情がもてない、育てようという気にならない』とか、『つい子供に手を上げてしまう』とか、そういうお母さんたちが気軽に相談できて、場合によってはお母さんから子供を預かる、そういう仕組みがよいとは思いませんが、現時点では緊急避難的に必要なのではないかと感じています。

松尾典夫

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